開発部の佐藤です。
弊社では複数の受託開発プロジェクトをまわしており、それぞれのチーム同士のコミュニケーションが不足しがちでした。その結果として、社内の共用GitLabの運用にあたって以下の課題を抱えていました。
- 全社共有のGitLab Runner(以下Runner)と受託開発案件個別のGitLab Group Runner(以下Group Runner)がそれぞれ存在する
- Runnerを保守をする主体が宙に浮いている
- Group Runnerを構築する担当者の作り方によっては遊んでしまうリソースが多い
- 受託開発案件ごとにGroup Runnerを構築していて保守に手間がかかる
- Runnerの登録削除を考えておらず、Runnerがオフラインのままのゴミが溜まる
これらは本質的にはチーム・部署間のコミュニケーションに起因する課題です。この課題を解決するべくDevelopment Crossoverプロジェクトの光の戦士たちが立ち上がりました。
Development Crossoverプロジェクトとは
社内の有志で「プロジェクト横断でノウハウを共有し、属人化を避ける取り組みを行う」というゴールを掲げて活動しているプロジェクトです。参加メンバーは主にエンジニアなので、開発という選択肢をとることも多く、開発手法にはスクラムを採用し、1週間のイテレーションでベロシティを測る仕組みをまわしています。また プロジェクト横断で
という目標の通り、どの部署のメンバーでも参加可能で、私の所属する部署以外のメンバーも参加しています。
これまでにも様々な活動を行っており、その中の一つであるOpenAPIモックサーバ用テンプレートの作成は技術者ブログで紹介しています。
https://iridge-tech.hatenablog.com/entry/2020/10/26/100000
Runnerのカイゼン
今回のクエストは、乱立するRunnerをいいかんじに集約して管理できるようにするのが目的です。解決策として以下の要件で共有ランナーの作成を行いました。
- オフライン時に自動で登録解除される
- 必要に応じてオートスケールする
- 共用ランナーだけどパフォーマンスを犠牲にしない(主にAndroidのビルド対策)
- S3キャッシュを利用する
- EC2のインスタンスストアを利用する
またそれと同時に既存の共有ランナーの整理と今後のランナー管理体制の検討も行いました。
使用したツール類
- CDK 1.94
- TypeScript 4.2
- projen 0.17
構成図
頑張りポイント
TypeScriptの採用
- TypeScript初挑戦のメンバーが多かったのですが、テストライブラリが充実していることからTypeScriptを採用しました。またそもそもCDK初挑戦のメンバーも複数いて、ペアプロ等を通してスキルアップを図りました
projenの使用
- cdkは現在バージョンアップが頻繁で、都度バージョンを手作業で上げていくのはストレスが貯まります。projenを使用すればcdkのパッケージ更新が楽になり、さらに各種設定ファイルがprojen経由で生成できるので、管理が簡単に行えるようになります
コスト削減
- spotfleetの使用
autoscaling.AutoScalingGroup
でSpotPriceを指定するだけ!(cfnで実現しようとすると非常に面倒くさいです)
土日の縮退
- オートスケーリンググループのcronによるスケール
autoscaling.AutoScalingGroup
のscaleOnSchedule
でdesiredCapacity
を1に更新- ターミネートのタイミングでGitLabランナーの登録を削除
// asg == AutoScalingGroup // ライフサイクルフックに紐付けるlambda.Functionの設定 const onTerminatingHook = new lambda.Function(this, 'onTerminatingHook', { functionName: 'RunnerOnTerminatingLambdaFunction', code: lambda.Code.fromAsset(path.join(__dirname, '../assets/unregister')), // コードを記載したファイルを指定 handler: 'unregister.on_terminating', runtime: lambda.Runtime.PYTHON_3_8, role: ssmAutomatorRole, }); // ライフサイクルフックの設定 this.asg.addLifecycleHook('onTerminating', { defaultResult: autoscaling.DefaultResult.CONTINUE, heartbeatTimeout: cdk.Duration.minutes(1), lifecycleTransition: autoscaling.LifecycleTransition.INSTANCE_TERMINATING, notificationTarget: new hooktargets.FunctionHook(onTerminatingHook), // ここでonTerminatingHookを指定している });
# assets/unregister.py # codeを一部抜粋 def on_terminating(event, context): for record in event["Records"]: instance_id = json.loads(record["Sns"]["Message"])["EC2InstanceId"] unregister(instance_id) def unregister(instance_id): # boto3のssmを使用 ssm.send_command( InstanceIds=[instance_id], DocumentName="AWS-RunShellScript", Parameters={ "commands": [ "docker exec gitlab-runner gitlab-runner unregister --all-runners && kill -SIGQUIT $(pgrep gitlab-runner)" ], "executionTimeout": ["60"], }, )
パフォーマンス改善
- インスタンスストアの使用
// userDataにコマンドを追加 'mkdir /var/lib/docker', 'echo "/dev/nvme1n1 /var/lib/docker xfs defaults,nofail,noatime 0 2" >> /etc/fstab', 'mkfs -t xfs /dev/nvme1n1', 'mount -a',
EBSの掃除
- 容量が逼迫するのを防ぐため1日1回dockerの未使用オブジェクトを削除する
// userDataにコマンドを追加 echo "0 0 * * * /usr/bin/docker container prune -f; /usr/bin/docker volume prune -f" > cron.conf && crontab cron.conf
監視
- メトリクス監視
- CloudWatch Agentを使用
- 異常が検出されたらインスタンスをUnhealthyにしてSlack通知
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